皆さんこんにちは。古舘です。
今回は、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)の最新の禁止表についてお伝えします。
ご存じの方も多いと思いますが、こちらの国際基準は毎年少なくとも1回改訂が行われ、1月1日から新しいルールが適応されます。
2025禁止表国際基準(英語版)については、9月にWADAから公開され、先日、11月28日に2025年禁止表国際基準(日本語版)がJADA(日本アンチ・ドーピング機構)のサイトで公開されました。
2025年版の主な変更点は、以下となります。
1. 吸入型ホルモテロールの使用基準の変更
ホルモテロールの使用間隔が「12時間ごと」に調整され、最大摂取量は24時間で54μgまでに制限されました(いかなる用量から開始しても12時間で36μgを超えないこと)。
2.血液および血液成分の提供が許可される条件の変更
認定施設※で行う血液や血液成分(例:赤血球、白血球、血漿)の提供が禁止対象から除外され、アスリートが全血献血と成分献血を行うことが可能となりました。
※日本国内では日本赤十字社の献血ルームで実施される全血献血と血漿成分献血が該当。
3.特定物質の扱いに関する明確化
グアンファシンは非禁止物質として分類移行され、ヒドラフィニルは「特定物質でない興奮薬」として禁止されないことが明確化されました。
4.ベータ遮断薬の使用制限の撤廃
スキーやスノーボード(全種目)において、ベータ遮断薬が禁止対象から外れました。
5.禁止物質のリストに新しい物資を追加
以下のカテゴリーで新たな物質が追加されています。
・S0(未承認物質)
1型リアノジン受容体-カルスタビン複合体安定化薬(筋肉機能の調整に関連)
・S4(ホルモンおよび代謝調節剤)
①エラセストラント(抗エストロゲン薬)
➁ミトコンドリアオープンリーディングフレーム2S rRNA-c(代謝調節薬)
➂インスリン模倣物質S519、S579
・S5(利尿剤および隠蔽剤)
キシパミド(利尿作用を持つ物質)
・S6(興奮薬)
ミドドリン、テソフェンシン(いずれも興奮薬)
6. 監視プログラム対象物質の追加
監視プログラム※にフェンタニルとトラマドールが追加されました。
※監視プログラムでは当該年に禁止とならないが、WADAがスポーツにおける濫用のパターンを把握するために監視することを望む物質としてモニタリングされます。
※詳しい情報は以下のサイトからご確認ください。
●WADA公式サイト(英語)
→ 2025 Prohibited List | World Anti Doping Agency
●日本アンチ・ドーピング機構(JADA)
→ 日本アンチ・ドーピング機構 | Japan Anti-Doping Agency (JADA)
●2025年禁止表の変更点【WADA説明サイト】
→ 2025_list_explanatory_note_en_final_11_september_2024.pdf
国際基準は毎年変更されるため内容を把握し対応するのが大変ではありますが、安全でクリーンな活動を継続するためにも、ぜひ一度ご自身で内容をご確認頂ければと思います。
今回ご紹介した内容が皆さんの活動に少しでもお役に立てば幸いです。
以上、今後ともよろしくお願い致します。
古舘